彼岸の頃になると赤い花を咲かせる彼岸花は、秋を感じさせてくれる大好きな花です。
でも、なんとなく怪しいイメージや不吉な名前があります。
毒もあるとか・・・
子供が、ちょっとさわっただけでも危険なのでしょうか?
大げさに言っているだけなんでしょうか?
彼岸花は意外と重要な役割を、昔から担ってきた花だったと知りびっくりしました。
毒があるのは間違いないので、正しい知識と扱い方を知っておきましょう。
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目 次
彼岸花を子どもがさわってしまった場合の対処方法
彼岸花は赤いキレイな花をつけます。キレイな花をつい、摘み取ってしまうということもあるかもしれません。
『お母さん、見て~』とお子さんが彼岸花を持って帰ってきたら?
ここは、あわてずにまず水で手を洗いましょう。
毒があるのは事実ですが、ちょっとさわっただけで症状がでることはありません。
ただし、茎の汁がついた手でおやつを食べたりするとちょっと心配です。
では、慌てないためにも
- どこに毒があって
- どんな症状が出るのか
- 症状はどれくらいの量で出るのか
これを見ていきましょう。
彼岸花の毒はどの場所にあるの
彼岸花には毒があるのはよく知られていますが、どの場所というのは意外と知らないことが多いです。
花・葉・茎・根(球根)とすべての部分に毒があります。特に根の部分(球根)の毒が強く注意が必要です。
彼岸花の毒はどんな症状がでるの
ヒガンバナの有毒成分として有名なのは、『リコリン』と呼ばれるアルカロイドです。
(人に対する致死量は10g)
彼岸花の毒の症状
さわった場合 :皮膚炎
口にした場合 :呼吸不全・痙攣・中枢神経麻痺・嘔吐・下痢
ほんのちょっと口にしただけでも、症状が出るのでしょうか。
どれくらいの量で症状がでるの?
致死量(10g)まで口にすることはまずないと考えられます。
しかし少量(2~3g)を摂取することで30分以内に症状が出るという記述もあります。
その場合は、吐き気や下痢によって、体は毒を体の外へ出そうとします。
2gのリコリンで症状が出るとすれば、それは彼岸花どれくらいなのでしょうか。
★症状が現われる量は★
彼岸花の鱗茎(球根)に1番多く毒(リコリン)が含まれています。
1gの鱗茎に15mg含まれているとすると、
1gの鱗茎→0.015gのリコリン
2gのリコリン→133gの鱗茎(2÷0.015=133)
彼岸花1本の鱗茎は10g~20gとすると、彼岸花6~13本
こうしてみると、子どもが彼岸花の根っこを6本以上食べて症状がでると考えられます。、
めったにそんなことはないとは思いますが、体が小さく・抵抗力の弱い子供なので注意は必要ですね。
そんな危険な毒をもつ花がどうして身近に植えられているのでしょうか。
これには、昔の人の生活に密着した知恵の結果と言われています。
彼岸花が身近に植えられている2つ理由とは
毒があり危険な植物であれば、住居のそばから刈り取ってしまうのが普通です。でも、彼岸花は身近に植えられているのは理由があるからなんです。
1 害獣よけ
2 非常食
1 害獣(モグラ・ネズミ)よけ
彼岸花は球根に毒があるため。モグラやネズミといった生き物を寄せ付けない働きをしていました。
田んぼの畔によくみられるのは、そういった害獣から田んぼを守るためですし、
墓地に彼岸花が多く植えられているのも、土葬にした遺体を守るためです。
こうして墓地に植えられることが多かったことで、不吉な花として避けられる原因となっていったようです。
また、毒があるために小さな子どもに触らせないためにも、不吉なイメージがあった方が都合がよいという面もあったと考えられます。
2 非常食
これは、今回調べてみて、初めてしりました。
昔の人は飢饉の時の最後の手段としてこの彼岸花の球根を食物として食べたとか。夏の間は地中で眠っているため、異常気象(干ばつ・冷夏)にも左右されない球荒植物と言われています。
毒があるので、他の動物も食べないのでなくなりません。そしてさらに手を加えることで食べられることを発見した先人の知恵はスゴイものです。
また、毒があっても食べ物として蓄えておく必要があるくらい飢饉が身近な災厄だった証拠かもしれません。
彼岸花の豆知識
急に咲いたように見えるのは?
彼岸花は、ある日突然目に飛び込んできます。まるで急に表れたかのように思えます。
これには理由があり、一般的な植物であれば、芽が出て茎が伸び葉がつき花が咲くという過程をたどります。
しかし彼岸花は、ちょっと変わっています。
芽が出て→茎が伸び→つぼみが赤く色づき→花が咲く
→花が散ると葉が出ます。→冬から春まで葉を出し光合成で栄養を蓄える
→春になると枯れて夏眠に入る
なんと芽が出て、花がさくまで1週間程度だとか。葉のない茎だけの状態では目につきにくいことも急に現れるように見える原因ですね。
彼岸の時期はどうやってわかるの?
彼岸花は名前のとおりお彼岸の時期に咲きます。
お彼岸の期間は、秋分の日を中日として前後3日間を合わせた7日間です。彼岸花がどうしてこの時期にあわせて花咲かせることができるのでしょうか。
それは夏の間眠っている球根が、一定の地温に下がり,多量の雨が降ると夏眠から覚め真っ先に花を咲かせます。この時期がちょうど日本では秋のお彼岸の頃なわけです。
昔の人々にとって効果が大きい彼岸花の5つのメリット
- 夏の畔(あぜ)の雑草刈りの時に邪魔にならない(9月になると突然茎が伸びてくる)
- 球根なので、咲いた花の種が飛び散って他に生えることがない
- 茎の高さが高くないので、台風などに倒されにくい
- 球根が生き物に対して毒をもつ。害獣よけ
- 飢饉を救う救荒作物
今でも、あちこちで赤い可憐な花の姿が見れるのは、昔の人々の生活に根付いていた証拠ですね。
まとめ
子どもが彼岸花をさわっても、慌てずに水で手を洗えば大丈夫です。
ただし、茎の汁がついた手で食べ物を食べるなどがないようにしましょう。
彼岸花の毒は、花・茎・葉・根と全部にリコリンという毒が含まれています。子どもには、さわらないようにとしっかりと伝えたいですね。
秋の花は?と聞いてイメージすることのない彼岸花ですが、その花の姿をみると秋を実感します。
私も大好きな花ですが、世間的な評判はまだまだ不吉なものが多いです。でも、その原因を知れば、先人の知恵の結果だったとわかりました。
毒があることで害獣から田畑や墓地を守ってくれる守り神のような存在だったんですね。
現代のヒガンバナのイメージ回復への願いを込めて、来年には彼岸花を見に行きたいと思います。
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